タクシーの運転手は、なぜ「どうやって行きますか?」と聞くのか。


タクシーに乗った際に、目的地を伝えたら「どうやって行きますか?」と聞かれて、困ってしまった、
なんて経験、あなたにもありませんか?
いやいや、プロの運転手が分からなければ、私も分かりませんよ、と。
以前、この話題について、知人がずいぶんと憤っていたことがありました。


そもそも、タクシーはお客を目的地まで送り、その距離に応じて代金を請求するサービスであり、
そのサービスの基本となる「経路」については、
サービス提供者であるタクシー運転手側から提示されてしかるべきだというのが、彼の言い分でした。


もちろん、客からの「遠回りだ」というようなクレームが後からこないように、
あえて質問しているのだろうから、同情の余地もあるが
せめて、目的地までの経路には、どういう選択肢があり、
それぞれどんなメリット、デメリットがあるのかを提示するべきで、
たとえば、大通りを使う経路なら近道ではあるけれども、時間帯によっては渋滞するかも、だとか、
ちょっと遠回りだけれども、裏道を使うのでスムーズにいけますよ、だとか言われれば、
そのときの状況に応じて答えることが出来るのだ、と
お酒も多少入った勢いでまくし立てていたのを良く覚えています。


私も、選択肢の提示なしに「どうやって行きますか?」という質問をすることは、大きな問題だと思っています。
これは、タクシーの運転手に苦言を呈しているのではなく、
自分はシステムを提案する営業の場で、同じことをしていないか、という自戒をこめて思うのです。


私が扱う、Curl は「言語」であるがゆえに、自由度が高い半面、
どうしてもシステムの提案においては、ユーザから提示される仕様に依存する比率が強くなります。


しかし、それを言い訳にして、システム提案の際に、
お客様であるユーザーからの「こうしたい」というニーズに対して
「どうやって実現しますか?」という質問で、責任も一緒に投げ返していないか、
考えられる最適解をメリット・デメリットとあわせて正しく提示する努力を怠っていないか、
という反省を忘れてはいけないと思っています。


Linuxコンソーシアムのリッチクライアント部会で、他社の製品や技術情報をまとめているのも、
自分の取り扱う技術だけではなく、他の製品や技術を知っておくことで、
お客様へ正しい選択肢を提示できるようにするためです。


ユーザーは業務のプロであっても、システム構築のプロではないことを忘れず、
構築前の「システム」というあいまいなものに対するユーザーのニーズを明確にし、
そこから考えられる最適解を提示することがいかに重要なことかと、
『このタクシー運転手の質問』を考えるたびに思うのです。




と、まあ、デブサミ2009のコミュニティLTでは漫才をしてしまいましたが、
コミュニティへの参加には、そんな思いもあったりしたりなんてことを、
せっかく、よしおかひろかたさんのブログでもLT大会のことをとりあげてもらっているので、
ちょっとまじめにメモしてみました。
もちろん営業としての枠を忘れてはいけないわけですが・・・。